健康おせっかい倶楽部
 
 
 

【監修】
永井成美

(兵庫県立大学環境人間学部教授)

NEW!

野菜果物、どっちが先?

 

 
 今はやりの「食べる順序」のお話かな、と思われたかもしれませんが、いえいえ、そうではありません。言葉の順序の話です。
 日本人は、この2つを並べて言うときに「野菜と果物」と言い、「果物と野菜」とはあまり言いません。食品成分表や食品事典に出てくるのもこの順序です。一方、欧米ではfruit and vegetablesと言い、vegetables and fruitとはあまり言いません。FAO(国連食糧農業機関)の食品分類やヨーロッパの食品成分表なども果物、野菜の順です。
 言葉は一般に、馴染みのあるもの、重要なものを先に言うことが多いことから推測となりますが、この語順の違いは食べる量の違いにあるのかもしれません。日本では野菜は果物の2倍食べられており(約280g vs 約140g 国の調査データ)、ヨーロッパの国々では果物のほうが野菜よりもたくさん食べられています(約400g vs 約250-280g FAOデータ)。ここにはワインのぶどうは含まれていません。日本の温暖多雨の気候は特に葉物野菜の生育に適しており、野菜の種類や料理も豊富です。一方、ヨーロッパでも緯度の高い地域では、葉物野菜は育ちにくく、日本のものより小ぶりで甘さも控えめな果物が植物性食品の給源の主役になっています。
 日本の野菜や果物は、品種改良によって色や形が美しく、美味しく進化しており、海外での人気が高まっています。しかし日本人の野菜と果物の摂取量は、いまだ政府の定める目標量(野菜は1日350g、果物は200g)に達していないという残念な状況です。がんや心臓病予防と野菜や果物の摂取量が関連していることは、世界中の多くの論文で報告され強力なエビデンスになっています。健康のためにも、実りの秋、美味しい果物や野菜を積極的に食卓に取り入れてみてはいかがでしょう。
 
 
2017年9月号より

真夏

 

 
 8月、暦は立秋。だが昼の暑さは盛りだ。ゴーヤ、胡瓜、トマト、強い日差しに色づく野菜が旬。桃、梨もスイカもみずみずしい。
 野菜と果物は元気だが、寝苦しい季節に私たちの生活リズムは乱れがちだ。朝の食欲もにぶい。にぶいからと朝食を抜けば、朝の胃の動きが弱まり、体内時計は、昼食を「一日の始まり」と認識する。これを繰り返すと習慣化する。胃は筋肉でできているので、使われなければ動きが鈍くなるという見方もある。
 消化器のスイッチは食べ物で入る。夕食後と睡眠中の長い絶食時間が朝の食欲には重要だ。日中の食欲不振で、夏場は夜に食事が偏りがち。夕食の量を意識的に減らし、その分を朝食にまわそう。旬野菜のスープや果物のジュース、少し食欲が出てきたらヨーグルトとシリアル。夜、「明日何を食べようか」と夢見るのもいい。
 
(※文責:編集部)
 
2017年8月号より

 

 
 7月の「走り」は枝豆とりんご。なすにぶどうと鰻は「旬」。ビールに枝豆がおいしい季節だ。仕上げの冷やし中華、そうめんも楽しい。
 そこで注意したいのは、「冷たいもの」のとり過ぎ。冷たい食べ物が急に腸に流れ込まないよう、胃は長い時間をかけてこなし、腸に送り出す。胃の負担は増し、夏の食欲不振へとつながる。夜になれば食欲は沸き、焼き肉やピザ、脂肪の多い食事が待っている。だが脂肪の多い食事は、食道と胃のつなぎ目のはたらき(食道胃接合部機能)を弱める。酔ってそのまま横になれば、食べた物が胃から食道に逆流し、胸やけを引きおこす。「朝のムカムカ」の正体はこれだ。
 食欲のない夏の朝には、ポタージュスープやおじやがおすすめ。温かく、消化のよい朝食で、からだのリズムをリセットしよう。
 
(※文責:編集部)
 
2017年7月号より

朝食」はおいしい!

 

 
 6月。太陽は高く、大気は暖まり、空に溜まった水がいっせいに地上に降りる。トマトやピーマン、枝豆、新ごぼうがおいしい。
 私たちのからだは、自然のリズムにあわせて体を整える仕組みを持っている。そのひとつが体内時計だ。その「主時計」は眼の奥にあって、朝の太陽の「光」で体にスイッチを入れる。もうひとつ大事なのが脳以外にある「抹消時計」。中でも内臓にある時計が重要だ。長い夜の〝絶食状態〟の後の朝食が、ふたたび体を起動してくれる。「光」が主時計にスイッチをいれる時間と、「朝食」が抹消時計にスイッチをいれる時間は、つい最近までは同期していた。今の私たちはどうだろう? 交代勤務、地下街勤務、深夜スマホのつながり誘惑、「体内時計」が混乱する環境で生活することが多くなった。そして「肥満」も増えた。 
 みなさん、6月は鮎解禁。あじもおいしい。少し早起きして、朝食を食べませんか?
 
(※文責:編集部)
 
2017年6月号より

「手ばかり」で考えよう

 

 
 新緑の「立夏」。寒さでたまった体脂肪を、「手ばかり」で減らしませんか?毎日の食事で気にしたいのは、「いろいろなタンパク質(系の食材)」を摂ること。人のタンパク質の材料として必要なアミノ酸は、食材によって含まれる種類が違います。
 (1)牛乳(2)乳製品(3)大豆製品(4)魚(5)卵(6)肉、この6つの食材を1日でそろえましょう。1食2つ、3食で6つ。それから野菜はたっぷり、くだものと、もちろん炭水化物、油脂も大事です。
 そして、食材の量をはかるときに便利なのが「手ばかり」。たとえば左手に「魚」と「豆腐」、右手に「卵」と「肉」をのせてみると、(3)から(6)まで1日に摂りたいタンパク質の量と種類がわかります。これと(1)牛乳1杯、(2)ヨーグルトかチーズを摂れば完璧。初がつおなど、初夏のおいしい食材を「手ばかり」してみてください。
 
(※文責:編集部)
 
2017年5月号より