健康おせっかい倶楽部
 
 
 

永井成美

(兵庫県立大学環境人間学部教授)

NEW!

「きれい」肌づくり

 
 人の外見で「若く美しく見える要素」のひとつが肌の張り、美しさだと言われています。正しい洗顔と保湿スキンケアに加えて、肌を健康的に保つための食事にも関心を持ちましょう。
 美しく健康な肌は、皮膚の一番外側、100分の1ミリほどのごくごく薄い角層のバリア機能で決まります。角層の細胞の面積が大きく、隙間なく並んでいる人ほど、皮膚から失われる水の量が少ない、つまり保湿機能が高い。この角層は、表皮の底で分裂した細胞が、成熟しながら4~6週間かけてゆっくりと皮膚の表層へ移動して出来たものなので、今のあなたの肌には、過去1か月の栄養状態や生活、メンタルなどが良かったかどうかが現れています。女子大生を対象とした研究では、低体温、エネルギー代謝や自律神経の活動度が低い人ほど角層細胞の面積が小さめでした。代謝が活発なら、肌のモトになる細胞がスクスク育っていくはず。そうそう、代謝を上げるためには運動も大事ですね。
 では、肌に良い食事とはどのようなものでしょう? 少し前に紹介した手ばかり法、思い出してください。まずは、たんぱく質。魚、肉、卵、豆腐(大豆製品)、そして牛乳・乳製品。朝食抜きや簡単に食事を済ませる生活では不足しがちですが、肌や髪、爪の材料になる大切な栄養分、多様な食品から摂ることが大事です。先の女子大生の場合、あぶらの多い食事は肌にマイナス、炭水化物や野菜(なかでもカラフルな野菜)はプラスに働きました。炭水化物源の米や小麦には植物性のセラミドが含まれています。セラミドは、皮膚表面の細胞の凝集力を高めて表皮バリアを強くします。体重を気にして、炭水化物抜きダイエットをしている人はいませんか?穀類は食物繊維の給源です。ほどほどに食べるほうが肌にも良さそうですね。
 研究成果をもうひとつ。「毎日楽しい気分で過ごしている」にYESと答えた人は、NOと答えた人より20%も肌表面の細胞の水分量が多かった。ちなみに、細胞の再生には睡眠時に出る成長ホルモンも関わっています。
 まとめましょう。
 (1) 量・質ともに良好な食事
 (2) 代謝を活発にするための運動
 (3) 肌の再生のための睡眠
 (4) 楽しい気分で過ごす
 全て体に良いことばかり。結果は1か月後のお肌に現れるはず……
 ぜひお試しください。
  
 
2017年11月号より

ランチボックスヘルシーダイエット

 

 
 気候の良い10月。お弁当を持って自然が綺麗な場所に出かけたくなりますね。
 お弁当箱は、限られた空間にいろいろな素材や味をコンパクトに詰めることができ、Bentoの名で海外でも人気が出ているそうです。
 そんな中、クラウドファンディングで「入れるだけで自然と栄養バランスが取れ、見た目もスリムでおしゃれな弁当箱(Fittbo)」が開発・発売され、お値段は5000円くらいと少し高めですが注目されています。6つに仕切られた面積どおりに、穀類、野菜、たんぱく質のおかず、ナッツ類やフルーツなどを詰めるだけで自然とバランスが取れるという優れものです。…が、1つだけ弱点があります。それは弁当箱のサイズが考慮されていないことです。小柄な方やあまり運動していない方には少しサイズが大きいかもしれません。
 実は、日本発祥の「3・1・2お弁当箱法」を使えば、もっとお安く簡単に栄養のバランスのとれた1食を整えられることをご存知でしょうか? 足立巳幸先生(女子栄養大学名誉教授)は、たくさんのお弁当箱に入ったメニューを調査し、「弁当箱の容積と中身の食事のエネルギーがだいたい同じ」ということに気づきました。つまり、弁当箱に水を入れ、600ml入ればそのお弁当箱に入った食事のエネルギーは600mlくらいになります。自分に必要な1食分のエネルギー量に合った弁当箱を用意するといいですね。でも揚げ物ばかりを入れては、エラーが出てしまいます。詰め方は、図のように、お弁当箱の半分の面積にごはんを、残りのスペースを3等分し、2つ分に野菜やフルーツを、1つ分にたんぱく質のおかず(肉・魚・卵などのおかず)を入れると、栄養のバランスもほぼ整います。お料理が動かないように、しっかりめに詰めましょうね。とても簡単で経済的。ぜひ試してみてください。
 
参考URL
https://cf-net.works/features/fittbo/
http://shokuseitaigaku.com/2014/bentobako
 
 
2017年10月号より

野菜果物、どっちが先?

 

 
 今はやりの「食べる順序」のお話かな、と思われたかもしれませんが、いえいえ、そうではありません。言葉の順序の話です。
 日本人は、この2つを並べて言うときに「野菜と果物」と言い、「果物と野菜」とはあまり言いません。食品成分表や食品事典に出てくるのもこの順序です。一方、欧米ではfruit and vegetablesと言い、vegetables and fruitとはあまり言いません。FAO(国連食糧農業機関)の食品分類やヨーロッパの食品成分表なども果物、野菜の順です。
 言葉は一般に、馴染みのあるもの、重要なものを先に言うことが多いことから推測となりますが、この語順の違いは食べる量の違いにあるのかもしれません。日本では野菜は果物の2倍食べられており(約280g vs 約140g 国の調査データ)、ヨーロッパの国々では果物のほうが野菜よりもたくさん食べられています(約400g vs 約250-280g FAOデータ)。ここにはワインのぶどうは含まれていません。日本の温暖多雨の気候は特に葉物野菜の生育に適しており、野菜の種類や料理も豊富です。一方、ヨーロッパでも緯度の高い地域では、葉物野菜は育ちにくく、日本のものより小ぶりで甘さも控えめな果物が植物性食品の給源の主役になっています。
 日本の野菜や果物は、品種改良によって色や形が美しく、美味しく進化しており、海外での人気が高まっています。しかし日本人の野菜と果物の摂取量は、いまだ政府の定める目標量(野菜は1日350g、果物は200g)に達していないという残念な状況です。がんや心臓病予防と野菜や果物の摂取量が関連していることは、世界中の多くの論文で報告され強力なエビデンスになっています。健康のためにも、実りの秋、美味しい果物や野菜を積極的に食卓に取り入れてみてはいかがでしょう。
 
 
2017年9月号より

真夏

 

 
 8月、暦は立秋。だが昼の暑さは盛りだ。ゴーヤ、胡瓜、トマト、強い日差しに色づく野菜が旬。桃、梨もスイカもみずみずしい。
 野菜と果物は元気だが、寝苦しい季節に私たちの生活リズムは乱れがちだ。朝の食欲もにぶい。にぶいからと朝食を抜けば、朝の胃の動きが弱まり、体内時計は、昼食を「一日の始まり」と認識する。これを繰り返すと習慣化する。胃は筋肉でできているので、使われなければ動きが鈍くなるという見方もある。
 消化器のスイッチは食べ物で入る。夕食後と睡眠中の長い絶食時間が朝の食欲には重要だ。日中の食欲不振で、夏場は夜に食事が偏りがち。夕食の量を意識的に減らし、その分を朝食にまわそう。旬野菜のスープや果物のジュース、少し食欲が出てきたらヨーグルトとシリアル。夜、「明日何を食べようか」と夢見るのもいい。
 
(※文責:編集部)
 
2017年8月号より

 

 
 7月の「走り」は枝豆とりんご。なすにぶどうと鰻は「旬」。ビールに枝豆がおいしい季節だ。仕上げの冷やし中華、そうめんも楽しい。
 そこで注意したいのは、「冷たいもの」のとり過ぎ。冷たい食べ物が急に腸に流れ込まないよう、胃は長い時間をかけてこなし、腸に送り出す。胃の負担は増し、夏の食欲不振へとつながる。夜になれば食欲は沸き、焼き肉やピザ、脂肪の多い食事が待っている。だが脂肪の多い食事は、食道と胃のつなぎ目のはたらき(食道胃接合部機能)を弱める。酔ってそのまま横になれば、食べた物が胃から食道に逆流し、胸やけを引きおこす。「朝のムカムカ」の正体はこれだ。
 食欲のない夏の朝には、ポタージュスープやおじやがおすすめ。温かく、消化のよい朝食で、からだのリズムをリセットしよう。
 
(※文責:編集部)
 
2017年7月号より

朝食」はおいしい!

 

 
 6月。太陽は高く、大気は暖まり、空に溜まった水がいっせいに地上に降りる。トマトやピーマン、枝豆、新ごぼうがおいしい。
 私たちのからだは、自然のリズムにあわせて体を整える仕組みを持っている。そのひとつが体内時計だ。その「主時計」は眼の奥にあって、朝の太陽の「光」で体にスイッチを入れる。もうひとつ大事なのが脳以外にある「抹消時計」。中でも内臓にある時計が重要だ。長い夜の〝絶食状態〟の後の朝食が、ふたたび体を起動してくれる。「光」が主時計にスイッチをいれる時間と、「朝食」が抹消時計にスイッチをいれる時間は、つい最近までは同期していた。今の私たちはどうだろう? 交代勤務、地下街勤務、深夜スマホのつながり誘惑、「体内時計」が混乱する環境で生活することが多くなった。そして「肥満」も増えた。 
 みなさん、6月は鮎解禁。あじもおいしい。少し早起きして、朝食を食べませんか?
 
(※文責:編集部)
 
2017年6月号より

「手ばかり」で考えよう

 

 
 新緑の「立夏」。寒さでたまった体脂肪を、「手ばかり」で減らしませんか?毎日の食事で気にしたいのは、「いろいろなタンパク質(系の食材)」を摂ること。人のタンパク質の材料として必要なアミノ酸は、食材によって含まれる種類が違います。
 (1)牛乳(2)乳製品(3)大豆製品(4)魚(5)卵(6)肉、この6つの食材を1日でそろえましょう。1食2つ、3食で6つ。それから野菜はたっぷり、くだものと、もちろん炭水化物、油脂も大事です。
 そして、食材の量をはかるときに便利なのが「手ばかり」。たとえば左手に「魚」と「豆腐」、右手に「卵」と「肉」をのせてみると、(3)から(6)まで1日に摂りたいタンパク質の量と種類がわかります。これと(1)牛乳1杯、(2)ヨーグルトかチーズを摂れば完璧。初がつおなど、初夏のおいしい食材を「手ばかり」してみてください。
 
(※文責:編集部)
 
2017年5月号より